1.アメリカ大学院・臨床系の心理学

まず、はじめに。


この項目では、アメリカ大学院におけるカウンセリング・臨床心理学系の修士・博士課程の説明から初めて、学費やアシスタントシップ。そして、将来を見据えてアメリカ大学職(教授など)に就いたり、または病院、大学のカウンセリングセンターなどで働くには、何を学んだほうが確率が高くなるのかなど、様々なことについ書いていきます。

ここでく書く情報の半分は、本「Insider's Guide to Graduate Programs in Clinical and Couseling Psychology」からです。




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この本は、アメリカ心理学会に認定されたブログラムのすべての情報が載っています。
大学ごとに、応募者何名、受かった人の平均GPA、GREいくつ、そして、どんな研究をしている教授陣がいて、アシスタントシップはもらえるかなど。

この本の情報をもとに、自分の興味や実績をもとに、ある程度志望大学が固められます。
そして、それから、個々の大学のホームページや直接教授にメールをしたりして、情報を集めて行き志望校を絞ります。


アメリカは臨床系の心理学、カウンセリング系はかなり細分化されていて、
日本での「臨床心理学」と、意味合いがかなり変わってくると思います。

少なくとも、アメリカの臨床心理学科でやっていることは、、、日本の臨床心理学科でやっていることとだいぶ違うと思います。それを証拠に、アメリカの臨床心理学科は、学部での心理学専攻が必須です。
日本の臨床心理学は、アメリカのカウンセリング系よりだと思います。(日本については知らないので、予想です。)

目次

1−A. 臨床系の心理学・カウンセリングの概要
1−B. カウンセリングとソシャルワークの違い
1−C. 臨床心理学とカウンセリング心理学の違い
1−D. 臨床心理学・Ph.D.とPsy.Dの違い
1−E. アメリカ大学院・無料で学べる臨床心理学科

1−A. 臨床系の心理学・カウンセリングの概要


まず、図を作ってみたので、そこで大まかな違いを見て、それから細かく説明していきます。

あまり知識はないですけど、アメリカではソーシャルワーク(Social Work)の修士でも、それから資格を取れば、Clinical Social Worker
として、カウンセリングができるので、それも加えました。


 専門分野 ソーシャルワーク
Social Work 
 カウンセリング
Counseling
カウンセリング心理学
Counseling Psychology
臨床心理学
Clinical Psychology 
 所属学科 ソーシャルワーク  教育学  教育学 or 心理学  心理学 
 学位体系  修士・博士  修士・博士 修士or 修士を非公式に含んだ5年間の博士  修士or 修士を非公式に含んだ5年間の博士
 アシスタントシップ あまりない
(修士)
あまりない
(修士)
 アメリカ心理学会認定プログラムはある場合が多いが、合格後に決まることが多い アメリカ心理学会認定プログラムはほとんどある。合格のレターと一緒についてくる。 
 授業科目 実践系科目が多い  実践系  理論、実践研究 理論、実践、研究
 応募要件 特にない場合も多い  特にない場合も多い  心理学の単位を少しは取っている必要があるプログラムとそうでないプログラムで別れる。   ほとんどのプログラムで、学部心理学専攻と同等を求める。


ソーシャルワーク = カウンセリングとは違い、一般的な社会的問題に取り組む学位。
詳しくは知りませんが、親から虐待を受けている子供など、社会生活問題に対しての仕事。
ソーシャルワークの修士を取った後に、LPSW(Licensed Professional Social Work)という資格を取れば、カウンセリング修士の人と同じカウンセリングができる。
この資格を取ればカウンセリングもできるので、実際に仕事を得るには、カウンセリングの学位よりソーシャルワークの方が役に立つらしい。

カウンセリング
 =アメリカでカウンセラーの資格LPC(Licensed Professional Counselor)を取るための修士課程。
必要単位数は48単位(普通の分野は36単位)で、普通論文を必要とされない。
大学卒業後に、筆記試験をうけて合格するとLPCの仮免許がもらえる。
正式なLPCを取得のためには、卒業後に3000時間の実習(1年くらい)をしないと正式な資格は取れない。

カウンセリング心理学
教育学のカウンセリングに心理学要素が混ざった学問。
臨床心理学と同じくScience Practioner Modelに基づいているので、理論・研究もできたうえで、更に実践もできるようになるようなカリキュラムになっている。

臨床心理学
心理学(科学)に基づいた実践を目指す Science Practioner Model に基づいた、学問。
カウンセリング心理学より、更に科学重視なので、データに基づいて効果的と認められている心理療法を扱う。
現在の主流は、認知行動療法。
逆に言うと、、、これ以外の方法論は学べません。



修士で日本に帰ろうと思っているなら、、、

どっちにしろ、、、日本でアメリカで勉強したことを直接仕事に行かせるかどうかわかりませんが、
臨床心理・カウンセリング心理は、アメリカでは博士課程まで終えていないと、あまり意味がありません。

なので、、、ソーシャルワーク・カウンセリングの修士の方がいいかもしれません。

でも、どちらにしろ、、、日本に返って、臨床心理士になるための勉強をしないといけないので、
どれを修士まで終えたにせよ。難しいと思います。

それに、日本の人が、カウンセリングだのカウンセリング心理学だのと区別がつなかいと思うので、
修士を終えて日本に帰る予定の方は、36単位のカウンセリング心理学・臨床心理学のほうでも、変わらないでしょう。

カウンセリングは修士に48単位が多いです。それに、臨床心理なら日本でも増えているので、認知されているでしょう。

臨床心理学の定義自体が、アメリカと日本では違うように思いますが。
詳しくは知りませんが、、、かなり混ざっている気がします。

とにかく、、、どっちらにせよ、、、アメリカの修士を終えて、日本に戻った場合は、

特にメリットがないので、、、それは考慮した方がいいと思います。




修士までで独立してアメリカで、働きたいなら、、、

詳しい理由はよく知らないけど、、、

カウンセリングの資格を取れば基本的に、独立してカウンセリングを行える。

一方、カウンセリング心理学と臨床心理学の修士では、独立してカウンセリング等はできない。
必ず、PhDの人の下で働くので、カウンセリング心理学と臨床心理学の修士では、独立できない。

だから、修士を終えて独立してカウンセリングをしたいなら(日本国籍のままできるか不明ですが)
カウンセリングの修士で、カウンセラーの資格を取った方が良いでしょう。




修士か博士か?

カウンセリング心理学・臨床心理学は一般的に博士課程まで終えた方が、就職等のためには絶対いいです。

カウンセリング等でも、資格を取るには卒業にインターンシップをしなくてはいけないし、外国人のステータスのまま仕事を見つけるのは厳しいように思います。

教育機関は比較的労働ビザが下りやすいみたいなので、博士まで取れば、
大学の教授職を探すと選択肢も増えるので、、、時間はかかりますが、博士まで行くメリットはあると思います。(、、、思って自分はやってます。)


1−B. カウンセリングとソシャルワークの違い

カウンセリングもソーシャルワークも、基本は修士と博士課程は分かれている。

カウンセリングに関して言うと、
修士は48単位で、カウンセリングの実践に焦点が置いてあるので、卒論を求めないプログラムも多い。
普通の大学院の修士は36単位で卒業なので、2年で卒業する場合は夏もクラスを取らないと難しい。
また、インターンシップも卒業単位に組み込まれている。

人から聞いた話だけど、
アメリカで実際に仕事をする際には、ソーシャルワークの方がカウンセリングより幅がきくらしい。
多分、実際にアメリカではソーシャルワークの仕事の方がカウンセリングよりも多いと思うし、
ソーシャルワークでも資格を取れば、カウンセラーと同じカウンセリングができるのが、理由だと思う。

日本人が留学生としてカウンセリング学科を卒業後に仕事として得るのは難しい。
というのも、カウンセラーの資格を取るには、卒業後に3000時間の実習を積まなくてはいけなくて、
それに1年かかるし、資格を取っても、外国人のステータスのまま労働ビザを取れるかどうかはわかりません。
もちろん、アメリカの日本人用の学校とかなら、労働ビザをもらって働けるチャンスがあるとは思います。


1−C. 臨床心理学とカウンセリング心理学の違い


共通点

・基本的に修士を含んだ博士課程扱い。だから、学部卒で博士課程に応募できます。
・博士課程扱いなので、アシスタントシップが出やすい。ちなみに、アメリカ心理学会認定のプログラムはアシスタントシップが出るところが多い。
・修士だけのプログラムもあるけど、修士のみだとできる仕事がかなり限られてきます。
・修士だけのプログラムは、博士課程の準備のために行く場合もある。
・両方とも卒業前に1年間のインターンシップがあるけど、インターンシップの場所は共通する場合がある。
・両方とも、Science-Practitioner Modelという科学と実践の統合を教育モデルとしている。


相違点
   臨床心理学 カウンセリング心理学 
所属学科 心理学科  心理学、 教育、カウンセリング学科
研究内容 重い心理障害を扱う ストレス、環境に適応などそれ程重くない問題 
卒論内容 心理療法の効果  例えば、インタビューなどで適応状況とかの調査
必要年数 5〜7年  5〜6年
インターンシップ先 病院  カウンセリングセンター等 
 就職先 病院 ・教授 カウンセリングセンター等・教授
・所属学科は臨床心理学は心理学ですが、カウンセリング心理学はプログラムによって違います。 これがアシスタントシップに表れていて、教育学系統は心理学に比べてアシスタントシップが出にくい。なので、自分の経験ですが、教育学科所属のカウンセリング学科では、合否がアシスタントシップと関係なくでて、合格してから自分で探す。お金のない留学生はこれでは、ビザ等の書類が取れませんし、アシスタントシップがない場合もあるので、大変です。
・プログラムによって違いますが、臨床心理は重い心理障害、カウンセリングは比較的日常的な問題を扱います。これがインターンシップ先にも現れていて、在学中に受けたトレーニングによって、インターンシップが決まるので、カウンセリング心理学だと応募はできるかもしれませんが、病院とかで働くのは難しいかもしれません。
・卒論内容は、臨床心理学は心理療法の効果の実験が多いです。これを終えるには時間がかかるので、それでカウンセリング心理学よりも卒業年数がかかると思います。



1−D. 臨床心理学・Ph.D.とPsy.Dの違い
Psy. Dは、心理学専用の博士課程で、実践に重視が置かれています。
だから、卒論とかの扱いが軽いと思います。

印象ですが、基本的に「Ph.D.>Psy.D」で、Psy.Dのほうが下に見られがちで、大学の研究職にはPsy.D.だと難しい。
かと言って、、、実践重視だから病院等で働きやすいのかと行ったら、そうでもなくて、アメリカ心理学会認定のPh.D.のほうが立場が強い。

基本的にPsy.D.はかなり受かりやすいので、学費を払えて倍率の高いPh.D.に行く必要のないひとは、それでもいいかもしれません。
Psy.D.では、アシスタントシップはほとんどもらえません。



1−E. アメリカ大学院・無料で学べる臨床心理学科

カウンセリング心理学と臨床心理学の多くは、修士+博士のプログラムで、
分類としては、いきなり博士課程扱いなので、アシスタントシップが出やすい。
アメリカ心理学会認定のプログラムはアシスタントシップが出るところが多い。


アシスタントシップがもらえれば、学部の授業を教えたり、教授の下で研究を手伝ったり、週20時間働くだけで授業料+生活費がもらえます。

なので、、、基本的に、、、無料で勉強できる。



最後に、、、アメリカ心理学会認定のプログラムの方が、、、あとあと有利です。
インターンシップ、卒業後の進路、大学教授職、心理学者の資格登録等で有利になります。








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